オゾンによる殺菌

オゾンは非常に強い酸化力
(他の物質に酸素原子を結合させて化学変化をおこし、別の物質に変えてしまう力)をもち、
酸化剤、消毒剤、漂白剤、脱臭剤として広く利用されています。
オゾン自体が気体であるので、紫外線の光が届き難い複雑な形状の収納物を殺菌・脱臭するのに適しています。

オゾンの殺菌とは

オゾンとは

オゾンの語源はギリシャ語のOzeinで「におい」を意味する言葉です。その語源がしめす通り、オゾンは特有の臭気を有する無色(高濃度では青色)の気体で、自然界では空気中の酸素の同素体です。酸素は酸素原子(O)が2つ結合して出来ています(O2)。それに対してオゾンは酸素原子が3つ結合してできた物質(O3)です。酸素は3つより2つの方が安定していますので、ひとつが他の原子と結合しやすい性質をもっています。それがオゾンの酸化力です。
オゾンその効果が大きいがゆえに微量でも長時間吸入していると有害ですが、通常は自然に分解して酸素に戻る安全性の高いものです。

オゾンの効果と人体影響

オゾンの効果(表-1)

殺菌 オゾンはウイルス、細菌、かび、藻類等に空気中または水中で作用し殺菌、不活性化します。
脱色 オゾンは染料、フミン質等の着色成分を分解し脱色します。
脱臭 オゾンはアンモニアなどの臭気成分を酸化分解し無臭物質に変化させます。
分解 オゾンは、無機物、有機物の分解除去をします。シアン、フェノール等の有害物質を分解します。
その他 また、不飽和有機化合物を分解し親水性、分解性を高めます。オゾンの強い酸化作用はいろいろな効果を生みます。

オゾンの濃度別による人体影響(表-2)

庫内のオゾン濃度は平均4ppm程度になります。殺菌処理が終了してもオゾン濃度はしばらく維持しますが、扉を開けると外気と混ざり合い0.025ppm以下となりますのでご安心下さい。

0.005ppm 空気中に存在する。
0.01~0.05ppm 臭気(生臭さ)を感じる 人体影響なし
0.1ppm 明らかな臭気を感じる 一日8時間の労働がゆるされる
(米国安全衛生局)
0.2~0.5ppm 鼻、喉に刺激を感じる 3~6時間の曝露で視覚低下。
1~2ppm 2時間の曝露で頭痛・胸部痛・鼻、喉の渇きと咳がおこり、曝露を繰り返せば慢性中毒にかかる。
5~10ppm 脈拍増加・体痛・麻痺症状が現れ、曝露が続けば肺水腫を招く。

オゾンランプについて

殺菌及びオゾン利用の時代に有力な光源

184.9nmの紫外線で空気中の酸素(O2)をオゾン(O3)に変化させる特殊ランプです。また同時に多量の陰イオンを発生させ、強力な酸化作用と陰イオンのイオン化作用で悪臭を破壊します。

  • 殺菌

    253.7nmの強力な殺菌線と184.9nmの紫外線でできるオゾンの働きで、空気中の細菌及び物質の表裏のすべての箇所の細菌を死滅させます。

  • 消臭

    184.9nmの紫外線が空気中の酸素分子(O2)をオゾン(O3)に変え、また多量の陰イオンを出します。このオゾンの強力な酸化作用と陰イオンのイオン化作用で悪臭を破壊します。

石英オゾン発生ランプ

オゾン発生ランプが殺菌灯器具に簡単に取り付けられます。殺菌・脱臭の強力効果をバツグンに高めます。(別売・取り付け設置込)

収納物の耐オゾン性

オゾン殺菌はその殺菌効果が大きい反面、収納物の素材により変色やひび割れなどの劣化を招く事があります。
下記の表は素材ごとの耐オゾン性をしめしたものです。ご選定の際は収納物の素材をご確認ください。

材質と処理 評価
金属 ステンレス鋼(SUS 304)
チタン
アルミニウム(アルマイト・裸)
クロム・ニッケル
鉄・銅(裸) ×
プラス
チック
塩化ビニール
テフロン
ナイロン
ポリプロピレン ×
FRP
ABS・スチロール ×
材質と処理 評価
ゴム バイトン(フッ素ゴム)
エチレン・プロピレンゴム
シリコンゴム・ウレタンゴム
天然ゴム・ニトリル・ネオプレン ×
ガラス 無機

オゾン殺菌庫試験データ

オゾン殺菌庫OI試験

検査実施日:
2010年10月14日 気温:27℃ 湿度:61% 天候:晴れ
試験機種:
乾燥式オゾン殺菌庫 OIG-3型(オゾン発生ランプ15W・オゾン循環ファン6W)
使用検査具:
一般細菌用寒天培地
試験方法:
SUS板図-1に約5,000個の一般細菌をつけ指定した検査箇所に置き指定した時間オゾン殺菌を行う。殺菌後、検査箇所 図-2 から寒天培地により菌を採取し、その寒天培地を37℃の恒温装置で24時間培養し図-3のような試験結果により菌の減少具合を検査する。

残菌数《各検査箇所に5000個以上の一般細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌)を付着》 ※<10は検出せず

オゾン殺菌時間(分) 0 5 10 30 60 90 120 150 180
残 菌 数 上部検査箇所 5000 100 40 25 <10 <10 <10 <10 <10
下部検査箇所 5000 1000 900 100 <25 <25 <25 <10 <10
  • SUS板(図1)

    100 50 菌付着箇所
  • 検査機種の型式 OIG-3型(図2)

    棚上段 棚下段 W1800×D700×H1800
  • 菌数判別の目安〔シャーレ〕(図3)

長靴用オゾン殺菌庫OS殺菌効果試験

検査実施日:
2010年10月1日 気温24℃ 湿度:63% 天候:晴れ
試験機種:
長靴用オゾン殺菌庫OS-45型(オゾン発生ランプ15W・オゾン循環ファン6W)
使用検査具:
NA培地:普通寒天培地、SA培地:標準寒天培地
試験方法:
大腸菌(O-157)・白癬菌(水虫菌)の菌液をしみ込ませた試験布を、長靴の検査箇所(内底及び外底)に置き、殺菌作動させ、1・2・3時間経過後に試験布を取出し、生残菌数を測定した。

試験菌:大腸菌 O-157 ※<10は検出せず

オゾン殺菌時間(分) 0 60 120 180
残 菌 数(個) 長靴(内底) 3.1×106 <10 <10 <10
長靴(外底) 3.1×106 <10 <10 <10

試験菌:白癬菌(水虫菌) ※<10は検出せず

オゾン殺菌時間(分) 0 60 120 180
残 菌 数(個) 長靴(内底) 1.3×105 <10 <10 <10
長靴(外底) 1.3×105 <10 <10 <10
  • 菌の測定箇所